そんな日中友好は要らない(温家宝来日を機に問いたい「官製親日」の今後)


日経ビジネス オンライン 谷口徹也の「北緯22度通信」







先週、出張で上海と北京に行った。宿泊は両都市ともNHKの海外放送が映らないホテルだったため、見るともなしにチャンネルを頻繁に変えながら中国のテレビを見ていた。

そこで目に留まったのが、中国語吹き替えで放映していた日本のテレビドラマ「白い巨塔」だ。こんな番組が日中の地上派で放送されていて、ちょっと興味深かった。




温家宝首相来日キャンペーンだった

と思ったら、今度は別のチャンネルで「岩松看日本(岩松が日本を見る)」という番組をやっていた。白岩松という中国中央テレビの人気キャスターが日本の各地を訪問して紹介したり、日本の著名人にインタビューしたりするという内容だ。

詳細やニュアンスまでは分からなかったが、基本的には日本を好意的にとらえた番組内容と言っていいのだろう。

香港に戻ってからインターネットで報道記事を見て、これらの番組は4月11日から予定されている温家宝首相の訪日に向けた、中国側の「日本キャンペーン」であることを知った。さらに、中国の中央電視台で安倍晋三首相のインタビューが放映されたとも聞いた。これらは中国国民の日本に対する理解を深めるための活動の一環とのことだ。

「なあんだ、またか…」。そう思って、白けてしまった。

中国の人たちに日本を理解してもらう。好意的に思ってもらう。その活動そのものは日本にとってありがたく、好ましいものであることに違いはない。問題なのはいつも“官製”であり、裏に明らかな政治的意図があることだ。




反日デモは構わない、でもなぜ日本だけなのか

安倍首相が就任直後に中国を訪問し、中国もそれを好意的に受け止めた。そんな、最近の親日、親中報道を見るたびに思い出すのは、2005年春に中国各地で繰り広げられた反日騒動だ。


中国政府が反日デモをやらせた、とまでの確証はない。しかし、デモや集会が原則として禁止されている中国で反日デモだけが選んだように実行されたのは、それを善しとする政府の意図なしにはあり得なかったと今でも理解している。

当時、中国に進出している日本企業の駐在員の多くがビジネスへの悪影響で頭を抱えていたのに対し、中国にいながら「サラリーマン根性」とは一線を画した日本人たちからは、こんな意見が聞かれて興味深かった。

反日デモをやるなとは言わない。ただし、反日以外のデモも大いにやってもらいたい」。民主主義の国民として言論封殺を良しとはしないし、幅広い議論を通じて形成された世論には耳を傾けるが、そうはなっていない、という批判である。



■首相訪日に過度の期待は禁物

「互恵関係の構築」も良いが、親日プロパガンダによる表面上の友好ムードに流されず、ビジネスライクに国益を追求してもらいたい。

1人の日本人として思うのは、中国の人には、中国政府の言論統制なしに日本を知ってもらいたいし、そのうえで日中関係を語りたい。日本には十分にその準備ができている。あとは中国側がいつ、“中共史観”のくびきから放たれるかだろう。

温家宝首相の来日期間中、日本と中国の両国では政府やマスコミを挙げて歯の浮くような友好演出が繰り広げられるに違いない。それはそれで外交ショーとして否定すべきものではないだろう。

ただ、その相手は、日本領事館を襲撃して反省の弁もなく、潜水艦で領海侵犯しても開き直り、南京事件にからんでは世界で宣伝活動を繰り広げている国である。日本側としては過度の期待は慎むべきだし、美辞麗句も割り引いて聞いておく必要があるだろう。

中国共産党vs日本(日本国民)の外交でなく、中国国民vs日本国民の外交にするための一里塚になるかどうか。そういう視点で、今回の温首相来日を眺めてみたいと思う。


ソース・谷口徹也の「北緯22度通信」:NBonline(日経ビジネス オンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070410/122346/?P=1


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イヤー素晴らしい内容のコラムで、読み進んでいくにつれ「そうそう!」「その通り!」などと相槌打ちそうになったよ…(・∀・)



普段、中国マンセーの論調が目立つ日経にしてはマトモなコラムだと思ったら、筆者の谷口徹也氏は日経新聞の記者ではなく、関連会社である日経ビジネスの香港特派員なんですね。



今、温家宝は韓国に滞在しており(と書いたが今日午後に来日してたね)、今のところ国内メディアの「歯の浮くような友好演出」はあんまり見られないが、明日以降本格的に登場してくるんだろうな…



「怒りや不信感をなかなか持続できない」「ムードに流されてしまう」という傾向は日本人には確かにあるように思う。(欠点であり美点なのかもしれないが…)あれだけの醜く理不尽な反日デモが繰り広げられて怒ったのにムードに流されてそのことを忘却してしまうということがあってはそれこそ中共の思う壺であり、国益を損なうことにつながる。




この谷口氏が指摘するように、これからは「親日プロパガンダによる表面上の友好ムードに流されず、ビジネスライクに国益を追求していく」姿勢が必要だと思う。



我々はいつまでも、「忘れっぽいお人好しの隣人」でいてはいけない!それは「したたかな隣人」にいいように利用されるだけだということにそろそろ気づかなきゃね。





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