『不法滞在者は犯罪の温床になっている?』 不法滞在の現実…統一日報


不法滞在者が劣悪な労働環境で真剣に働いている現実に日本政府はもっと目を向けるべきだ」




こういうのを「開き直り」もしくは「逆ギレ」という





不法滞在の現実

 来日5年目になる金美子(54、仮名)は、唯一の楽しみである「サウナ」に行くことをやめた。「今捕まったら何もかもがおしまいだから」。サウナは、不法滞在者とされる人びとの憩いの場だと金美子は言う。「サウナは同じ境遇に置かれている者同士が語り合ったり、慰め合ったりする交流の場なのです」。別の男性の不法滞在者は、サウナは、取り締まりの情報を集め、当局の動向を探る場でもあるのだと語った。金美子は3年前、サウナで不法滞在者への取り締まりが強化されるという話を聞いた。コリアンクラブの厨房で働いていた彼女は、「稼ぎは減るけど安全な場所がいい」と、韓国料理店に移った。当時、入管の取り締まりは、ほとんど風俗店が対象だったという。「取り締まりが鎮まるまで、ここで辛抱しようと思っています」。金美子の予想は大きく外れた。
(政治部・崔世一)


密入国」の影はなく

 取り締まり強化は、2003年10月、法務省入国管理局が、警視庁とともに発表した「首都東京における不法滞在者外国人対策の強化に関する共同宣言」に始まった。5年間で「不法滞在者」数を半減させることを宣言したもので、いまなお厳しい取り締まりが行われている。


 初めは「クラブ」や「エステ」などの風俗店がターゲットだった。今では駅構内でも警察が目を光らせるようになり、それこそ電車を下りた途端に捕まるといったケースも出てきている。
 金美子は、休みの日は一歩も外に出ず、いつ捕まって強制送還されるのかと怯え暮らす毎日である。
 「私の仕送りだけを頼りに韓国で待っている家族がいます。それを思い出して歯を食いしばっています」
 金美子は不法滞在の理由を言う。話す表情からおそらく彼女の言葉に嘘はないのだろう。だが、彼女のようなケースは実際はめずらしいと言っていい。
 物価や生活水準などさまざまな面で韓国と日本は近くなっている。今は、親や兄弟の面倒を見るために働く場を日本に求める人はたぶん、ほとんどいない。まして、ひと稼ぎし母国で家を建てるといった夢など韓国人に限ってはないだろう。
 多くは奢侈を求め、安逸な気分でやってくる。そこにはかつて見られた不法滞在者の重圧感は存在しない。かつては「密入国者」と言われた。今は死語である。もっぱら「不法入国者」と呼ばれる。正規ビザでやってきて、期限が切れると不法滞在を決め込むというスタイルに時間の流れを感じさせている。それだけに、犯罪に手を染める動機も昔ほど深刻さはなく、数の増大を生んでもいる。逮捕、強制送還が、むかしほど生活への打撃とはならないからだ。


不法滞在者は犯罪の温床になっている?


 『東京新聞』の世論調査によれば、治安や安全に不安を覚える日本人は8割近くに上っている。
 日本のマスコミが、外国人犯罪の増加や凶悪化を大きく取りあげるようになって久しい。外国人、特にアジア系外国人=犯罪者というイメージは広がる一方だ。不法滞在者につきまとう犯罪イメージはなお強い。
 実際はどうか。立ち入って見る必要はある。
 李匡鎬(会社経営。都内居住)は、長年「不法滞在者」と身近に接してきた。
 不法滞在者とはいえ、生活基盤を日本に置く人がほとんど。かれらにとって、ちょっとしたトラブルでも、生活を損なうおそれがある。おかしい話だ。かれらは誰よりもルールとマナーを守っているのだから」
 不法滞在者の働く場は日本人がきらう労働現場だ。日本はもはや移住労働者なしでは労働構造として成り立たなくなっていると言っていい。
 李匡鎬は、需要があるにもかかわらず、「単純労働者は受け入れない」とする日本政府の建て前論の中で生まれたのが「不法滞在者」だと声を強くして訴える。「不法滞在者が劣悪な労働環境で真剣に働いている現実に日本政府はもっと目を向けるべきだ」
 「犯罪の温床」と入管や警察が指摘している「不法滞在者」の統計はどうか。
 2006年度『警察白書』によると、昨年中の来日外国人犯罪の検挙人員は2万1178人。そのうち、不法滞在者は1万1839人と、55.9%を占める。
 だが、検挙事由の多くは「入管法」違反(すなわちオーバーステイ)にすぎない。入管法違反を除外し、刑事犯のみの検挙状況をみると、不法滞在者による犯罪は15.3%を占めるにとどまっている。李匡鎬の言葉を裏書きしてもいる。



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不法滞在者だから…


お引取りいただくしかあるまい。