産経【正論】現代史家・秦郁彦 米下院の慰安婦決議阻止の妙案


ベトナム戦争慰安所を黙認していたアメリカに対日批判の資格なし…


なるほど、なるほど






■日米両国を非難決議の対象にしては


 ≪噴火を再開した休火山


平成3年の大爆発から数年、日本の内外をにぎわせた慰安婦騒動も、河野洋平官房長官談話(5年)やアジア女性基金による「償い金」の支給事業で沈静したかにみえた。しかし人々の関心が薄れかけると、この休火山は噴火を再開するくせがあるらしい。

昭和天皇慰安婦問題で有罪と宣告した女性国際戦犯法廷(12年)、その番組制作をめぐるNHK対朝日新聞の紛争(17年)につづいて、こんどは米国下院に上程された「慰安婦決議」案の行方が注目されている。すでに何度か提出され、そのつど廃案になったものだが、本年1月末マイク・ホンダ下院議員らが提出した新たな決議案は「日本帝国軍隊が第二次大戦期に若い女性たちを慰安婦として強制的に性奴隷化したことに対する歴史的責任を明確な形で公式に認め、謝罪する」(第1項)よう日本政府に求めたもの。

しかも「謝罪は日本の首相が公的資格で声明」(第2項)せよとか、「現在と未来の世代にわたり、このようなおぞましい犯罪があったことを教育せよ」(第4項)とか、「性奴隷がいなかったと主張する言論を禁圧」(第3項)せよといった内政干渉がましい要求までだめ押ししている

およそ民主主義の総本家と自負するアメリカの議会人とは信じられぬほど品格に欠ける言い回しだが、その勧進元が戦時中に日系人(強制)収容所で暮らした日系3世と聞けば何ともむなしい。

しかも決議案の背景となった事実認識は「20万人」の慰安婦たちを「20世紀最大の人身売買」(前文)の犠牲者と位置づけ、集団暴行、強制中絶、殺害、手足切断などのめにあわせたときめつける非常識さだから、つける薬は簡単には見つかりそうもない

外務省はこの種の係争では事実関係を争わず、村山富市首相や橋本龍太郎首相のお詫(わ)び文の英訳を届けるたぐいの消極策しかとってこなかった。2月13日付で加藤良三駐米大使が下院にあてた「反論書簡」も、歴代首相が謝罪を重ねている、安倍首相も河野談話を受け継ぐと表明している、アジア女性基金が「償い金」を払った式の釈明に終始している。


 ≪鈍い決議阻止への動き≫


さすがに自民党中山泰秀議員らが、河野談話の修正に向け動きだしたが、3月5日の参議院での質疑で、首相があらためて「河野談話は基本的に継承していく」と表明したため腰砕け気味になってしまった。では4月末の安倍訪米をにらんで直前の本会議可決をめざしているとされる状況に即効の対応策はあるのか、数案を検討してみよう。

(1)決議が可決されても法的効果はないので静観する(2)謝罪も償いもすんでいるとくり返し説得する外務省方式の継続(3)河野談話の修正(4)朝鮮戦争ベトナム戦争でも米軍や韓国軍が類似の慰安所制度を利用していた事実を指摘し、「同罪」だったことを自覚してもらう−の4案である。

(1)と(2)は論外として、(3)河野談話の「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も甘言、強圧など、官憲等が直接これに加担したこともあった」というくだりから、「軍の要請を受けた」を削除、「強圧」を「威迫」に、「直接これに加担した」を「直接間接に関与」か「取り締まる努力を怠った」へ修正するのが私案である。

慰安婦募集の実態は拙著『慰安婦と戦場の性』に詳述したが、朝鮮人ブローカーが娘を身売りした親と業者を仲介する合法的な商行為だった。そして業者が戦地に慰安所を開き、軍が性病の検診や輸送の便宜をはかったもので、官憲が「強制連行」に乗り出す必要性はなかったし、裏付けのある証言もみつかっていない

 ≪ペンタゴンも黙認して…≫

ベトナム戦争中の米軍慰安所については、スーザン・ブラウンミラー(米人女性ジャーナリスト)の『Against Our Will』(1975年)に詳細なルポがある。一部を紹介すると「鉄条網で囲まれた公認の軍用売春宿では60人のベトナム女性が住み込み…1日に8人から10人をこなす。料金は500ピアストルで、女の手取りは200ピアストル、残りは経営者が取った。彼女たちを集めたのは地方のボスでペンタゴンも黙認、女たちは週ごとに軍医の検診を受け…」といったぐあい。日本軍の慰安所と瓜二つではないか。

ホンダ議員たちへ対日非難の資格ありやと問うか、決議案の対象を日米両国政府に修正するようかけあってみたらどうだろう。


現代史家・秦郁彦


ソース・Sankei WEB
http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/seiron/070311/srn070311000.htm

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まぁ、(4)を指摘するにしても方法を間違うと、本来この件では関係のない「日米の罵り合い」のような様相になってしまい、「日米の離間」状況を喜ぶ国や勢力の思う壺になってしまう危険性もあるので、タイミングや方法がなかなか難しいのかもしれない。


上記の主張にもあるが、慰安婦問題は「噴火を再開した休火山」であり、これまでのようにグレーで小手先の対応で鎮火したとしても、またぞろ数年後には蒸し返され、追及され続けるだろう。これを断ち切るためには、時間がかかろうとも、こういった事実を主張していくという地道な取り組みの積み重ねしかないんでしょうね。





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